溢れ出しそうだよ。

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 大好きな彼との一番の思い出があたしのお漏らしだなんて、一生の恥である。いやだ、いやすぎる。そう思うと冷たい汗が額を駆けていく。  そんなとき、バスが少し揺れた。ほんのり下着が湿ったかのような感覚に、あたしはドキリとする。オシッコの匂いで、ばれてないだろうか。そんなことを考えながら泣きそうになるあたしは彼を見た。彼がキョロキョロと不安そうな顔であたしや友達を見ているから、もしかしてあたしのお漏らしがバレているんじゃと恐怖に襲われる。頑張れあたし、耐えるんだあたし。未来の青春のために。幸せな修学旅行を過ごすために。内股になるあたしの足下に、全集中の力を込める。踏ん張れ、頑張れ。
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