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授業には出ないといけないから,居心地の悪い教室に戻った。
「麻耶,さっきはごめん。言いすぎた」
教室に入ると,紗英が謝ってくる。
違うよ,紗英は悪くないんだ。もう,大丈夫だから。
「私もごめん。さっき,会ったの」
「会ったって誰に…?…あ,もしかして」
罰の悪そうな感じで言う紗英に私は頷く。
「そのもしかして」
「大丈夫だった?まぁや,泣く?」
泣くって。私は思わず笑ってしまう。
「泣かないよ。ちゃんと吹っ切れたと思う」
「まぁや,佐野のこと好きじゃないでしょ」
全てお見通しって感じで言われて私は素直に頷いた。もう,嘘はつけない。
「ちゃんと恋だったと思うよ。彼のこと」
私たちがあえて彼の名前を出さないのは,楽しかった過去を封じておくため。
「恋だったの。あれが,恋なの…?」
辛くて,楽しくて,泣いちゃうこともある。それが恋なの?
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