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「ありがとう」
そう返す私にクラスメイトはホッとしたような表情をする。
何が,ありがとうなんだろう。感謝なんか感じたことないロボットと同じなのに。常に計算して先を読んで…。それが私なのに。
今日の私は,異常だ。とても。
「うん,それより…」
「佐野のどこが良かったの?」
どこが良かったか。そんなの分からない。「佐野くんは素敵な人だよ。とっても」
「どこが?」
興味津々に聞いてくるクラスメイトに私は少しだけ戸惑いを浮かべる。
異常だ。なんだか,今日はとても人間らしい感情を抱いている。
「笑いかけてくれるの。こんな私に」
慌てて,思い出したことを言う。
佐野くんは笑いかけてくれる。こんなロボットみたいな人の感情を全く抱かない私に。
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