初恋

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「ねぇ,何してるの?」  そう言うと彼は少し笑う。 「彼女に振られたんだよ」  聞かなきゃ良かった。でも,今更遅い。 「そう。残念だね」 「棒読みだな。絶対思ってないだろ」  苦笑しながら言う彼に私は少し胸を痛める。なんだろう,この感じ。 「ロボットみたいだったのに,人間らしくなったな」  この人のせいだ。私が恋を知らないのも,私がロボットなのも。 「人間らしく…?」 「ああ,ちゃんと感情がある。俺と付き合ってた頃は無って感じだったのによ」  無って感じじゃないだろうか。今も。 「そうかな」 「ああ,恋でもしたか?」  何故か納得したように言う彼に苦笑する。恋なんてしてないよ。恋なんて知らないよ。 「別に」 「今の口調,絶対いるだろ。今度,教えろよな」  私たちの関係に『今度』は訪れるだろうか。それでも,私は笑った。 「今度ね」
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