初めての彼氏

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初めての彼氏

「着いたら連絡してね、頑張るのよ」 「うん、行ってきます」 私は子ども時代を過ごした田舎を離れ、遠い都会の大学に進学することになった。本当は、県内の大学とかでもよかったのだけれども、引っ込み思案な性格をどうにかしたいと母に背中を押された。 母子家庭なので、奨学金をもらい、安い寮に入っての生活になる。生活費は自分でやりくる、寮費と学費は母が出してくれた。 母自身、某大学出身で「女だから勉強しなくてよい」という考えを嫌う人間だった。そのおかげで私の大学進学が叶ったわけだ。だから、母には感謝しかない。 飛行機と電車を乗り継ぎ。大学寮最寄りの駅についた。そこから、バスで移動だ。田舎者の私は、バス乗り場の多さにびっくりしながら、なんとかバスを見つける。 ようやく寮につくと、母に電話。そして、寮監さんに自己紹介。そのあと、部屋にいった。 部屋は4人部屋。部屋にいた先輩から早速寮について話を聞いた。 この寮には厳しい決まりがたくさんあり、最近の大学生と思えないほど不自由なものだった。門限は10時。外泊は月2回まで。申請がいる。起床時間も決まっており、点呼もあるみたい。 他の新入生は、びっくりして 「サークルとか部活できるんですか?」 「彼氏つくれないじゃん!」 「外 飲み会参加だめってこと?」 不安を口にした。 幸い、不自由な学生時代を過ごしていた私には、その厳しさにも疑問をもたず受け入れた。しかし、多くの人は耐えきれずに退寮するらしい。私は四年間いないといけないから、耐えられなくても逃げられないが。 そんなこんなで、大学生活が始まった。
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