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俺の家には人間の婆ちゃんが一人居て、その婆ちゃんが世帯主ってやつだ。
婆ちゃんは八十歳を越えているのにとっても元気で、昼前から夕方まで商店街の惣菜屋で店番をしている。
看板娘ってやつらしく、ケーブルテレビにも出た事があるカワイイ婆ちゃんだ。
婆ちゃんは元気で明るいくせに妙に臆病というか、すんごく怖がりで、家の中で一寸家鳴りがしただけで怯える。
そんな時、婆ちゃんは決まって仏壇に手を合わせ爺ちゃんやおばちゃんやお嬢にしきりに謝ってるんだ。
何を謝っているのかは分からないけれど、それがこの家の幽霊を十人にまで増やした原因らしい。原理がわかんねえ。
そんな臆病な婆ちゃんは独りで家に居られない。
だから俺が一緒に暮らして、婆ちゃんが怯える度に膝や手に頭を擦り付けて宥めてやるんだ。
婆ちゃんにも爺ちゃん達が見えれば心強かろうと思っても、見えないもんは仕方がない。
お嬢を探しに行かなきゃなんねえけど、婆ちゃんを一人にするのも不安だし、心配事が尽きないたらありゃしねえ。
まぁ、とにかく一刻も早くお嬢を見つけて連れ帰り、婆ちゃんの側に居てやりてえ。
俺は男だし、爺ちゃん達は幽霊たってもう年だし、家族は俺が守んなきゃいけねえよな。
「お嬢、待ってろ!」
「婆ちゃん、すぐ戻るぜ!!」
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