相合傘

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┈┈┈都内某有名BAR 《 Camellia 》 店内にはビジーアデールの心地よいJAZZが流れていた。大人の空間らしく静かに床に落とされる間接照明。 カウンターの赤い椅子には二人の男女が座っていた。 「ねえ、ついに言うの?」 綺麗に黒のワンピースを着た若い女が隣の男にそう言った。 いただいているカクテルはマンハッタン……赤い口紅がついていた。 「あぁ。明日に言うよ。丁度家にいるからな。そしたらすぐに手続きするから。」 男はそう言ってグラスに入ったウィスキーを口に含む。ダブルで頼んだスコッチ・ウイスキーは、程よく甘みがありすんなりと喉元を通り過ぎる。 「奥さん、ヒステリーおこさないかなぁ。」 「大丈夫だよ。穂乃香が心配するようなことじゃない。俺がきちんとするから。」 「うん。ごめんね。真彦さんに迷惑かけるね……。」 「違うだろ。俺が、お前と一緒になりたいんだよ。」 「うん。2人でそう誓ったもんね。でもよく今までバレなかったなあ。ね、そう思わない?」 ふふふっと穂乃香は笑った。 「アレは疎いからな。田舎育ちで世間知らずだ。子供産んでそこだけの世界で生きてるからなあ。だから大丈夫。何も心配することなんてないさ。ただ…金は払わなきゃいけないがな。」 「うん。それは仕方ないよ。多少の犠牲はつきものだって。」 穂乃香はそう言って真彦にもたれかかった。少し酔った頭の中で今までのことが蘇る。
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