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真彦と出会ったのは入社した時だった。
単に新入社員の時の上司。
穂乃香と10歳ほど離れている真彦はとても大人に見えた。
しかも役職。将来は有望株だ。
最初に誘ったのは穂乃香であった。打ち上げの飲み会のあと、酔ってしまい一人暮らしのアパートまで送ってもらった。
そのまま抱っこされた時の彼の匂いに気分はとき解されて、穂乃香からキスした。
真彦は避ける様子もなくそれを受け入れ、その夜関係を持った。
その時から奥さんがいることは知っていた。
たった一度きりかと思っていたが、彼は違った。何度も穂乃香を求めた。
そして次第に本気になる……。
ただ、いつも邪魔な存在がいた。
奥さんだ。
穂乃香は早く別れて欲しいと真彦に迫った。断られるかと内心ビクビクしたが、彼の答えは自分を選んでくれた。
誇らしい気持ちがした。
何年も連れ添った奥さんよりも私を選んでくれた!そう思えた。
それからは何回も嫌がらせがてら彼に悟られないように口紅をワイシャツにつけたり、香りをつけたりした。
だがそれは不発に終わった。
彼の奥さんは気がつくことがなかった。
だから強硬手段に出た。
彼の家に電話をしたのである。
言いたい事はひとつ。
別れて欲しい。
そう言った。
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