漸年寺響子が語る初恋のバッドエンド

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◇◇◇  ことりの通夜は、その晩、市内のセレモニーホールで行なわれた。  ぼくは入れてもらえなかった。ことりの親から、娘を妊娠させて死に追いやった相手、と(にら)まれたからだ。  広い駐車場の片隅で、うずくまっていると、セーラー服姿の漸年寺(ざんねんじ)響子(きょうこ)がやってきた。  その後ろには、クラスの男子が大勢、というより、全員がそろっていた。みんな黒い学生服を着ている。 「まだ、知りたいの?」 「もちろん」  漸年寺が短く訊ね、ぼくも短く答えた。  漸年寺は小さくため息をついて、話し始めた。 「浅沼さんにとって、沢田くんが初恋の相手だってことは、話したよね」
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