自殺願望

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「マセたガキ。何がかまわないのよぉ?」 「だって、知ってる? 自殺死体は、警察の係官が調べるんだよ? たぶん男の、まあオジサンだよ、そのオジサンが死体を真っ裸にして、性器とか、お尻の穴とか、じっくりと調べるんだってさ」 「いやっ、うそっ」 「嘘じゃないよ。このあいだ読んだ本に、そんなことが書いてあったよ(*1)。さすがに、レディーになって初めて恥ずかしいところを見られるのが、警察のオジサンだなんて、なんか悲惨だね、アハハハ……あーそうか、お姉さんは実際には死なないんだから関係なかったね。あれっ、お姉さん、どこ行くの? お姉さん?」 *** 「お姉さん?」 「キャッ? なに、あんた、わたしのあと、つけてきたの?」 「ううん。こっちの公園も散歩コースのひとつだから、歩いてきたら、偶然またお姉さんに会ったってわけ。大丈夫、すぐ行くから、気にしないで続けてね。へえ、今度はそのブランコのてっぺんの横棒を使って首をつる――じゃなかった、自殺の研究をするんだね?」 「いやなガキ。さっさと行けば?」 「うん、行くよ。あっ、ごめん、ちょっとだけ教えてくれない?」
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