自殺願望

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「……今度はなによォ?」 「女の人が首をつるっていうと、普通、自宅で、っていうことが多いみたいだけど、お姉さんは――というか、お姉さんが演じるお芝居では、どうして夜の公園で自殺するの?」 「……それを教えたら、向こうへ行く?」 「うん、もちろん」 「わたし――じゃなかった、そのヒロインは、母一人娘一人という家庭なんだけど、母親っていうのはいわゆる毒親で、DVで、娘の給料も全部取り上げて、娘を自分の奴隷としか思ってないのよ。娘はそれで絶望して死ぬ。さすがに毒親のいる家では死ぬ気にならない……と、そういう設定なの」 「ふうん、なるほど、それで公園か。それじゃしょうがないよね。公園だってなんだって、死んじゃえば、変態さんのことなんて気にならないもんね。知ってる? 世のなかには死体愛好家なんて人たちがいるそうだよ? 公園で首つり自殺している若い女性を見つけたら、写真に撮って、裏サイトにアップするんだろうな。もしかすると、遺書だって持ち帰って、裏サイトでオークションにかけるかもしれないね。そうそう、現場に遺書がない場合、自殺か他殺か、わからないかもしれない。そうすると司法解剖されるみたいだよ? 裸にされて、体中を切りきざまれるわけ。もちろん、もう死んでるんだから、ぜーんぜん痛くないよ」 「ヤなガキ。なによなによォッ」
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