転職先は『うらめし屋』番外編

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「おやおや。磐田さん、どうされました? そんな成仏したような顔をして」  俺が初めて霊界に来た際に、さんざん困惑させてくれた張本人。霊界における俺の職場、『うらめし屋』の上司である遠藤(えんどう)だ。  俺たち霊は、何もせずぼーっとしているとそのうち身体が消えて行ってしまう。霊体を維持するためには、何でもいいから仕事をして、誰かの役に立たなければならない。そこで、俺は遠藤の職場で働くことになった。  俺は霊界に来た時に一部の記憶を失くしていて、自分がなぜ、どうやって死んだのかも覚えていなかった。自分が死んだ理由も知らずに消えるのはごめんだと思い、苦渋の決断で『うらめし屋』で働くことを選んだのだ。今では何とか仕事にも慣れ、自分の霊体を維持できるくらいには役に立てている。
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