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ヒーローが言うには業績悪化のため勤めていた会社が潰れたのは一ヶ月前の事。
恋人と一緒に住んでいた部屋でそれでもささやかなクリスマスをと思っていた矢先、
「よりによってクリスマスに浮気するか?
ありえねぇ」
だ、そうだ。
それで元恋人のところから実家まで財布と
スマホだけを手に出てきたのだとか。
実家に帰ろうとしたけれどヒーローは実家嫌いで家の前まで行ったものの、コンビニで酒を買いこの公園で飲んでいたとか。
相変わらず無茶苦茶な..
「なぁなぁ、薫ちゃん覚えとる?
前に一緒にクリスマスしたことあったやろ」
ああ、ありましたねぇ。
お互い一桁年の若かりし頃に。
「ここでさ。おばさん仕事でいなくて、
かわいそーやなぁって思ってさ。」
それはどーも。
母は看護師でうちは母一人子一人だったのでどうにも家にいるのは寂しく感じて、とりあえず外に出たらその日もヒーローはここにいた。家にあった小さなショートケーキを二人で食べた。
「ケーキでも買いに行こうか」
あの時みたいにまた食べようと言うつもりなのだろうか。
ヒーローは赤くしも焼けた手を擦りながら
そう笑った。
自分はそれに首を振り、仕方ないと顔を作って部屋へ招き入れた。
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