4、痣(あざ)

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4、痣(あざ)

乃愛は ほとんど毎日 学校帰りにユウギのアパートに来ていたが といって、何をするでもない。 ユウギはスマホゲームをずっとやってるし 乃愛は自分のスマホでアニメや動画を見てる。 その日、いつもより早く ユミが帰ってきた。 「メンチカツあるよ 食べてく?」 「うーん…まだお腹すいてないからいいや」 「そっか」 答えると、すぐ ぅあああ~ん と ノビをする声。 そしてバサっと布団を広げ 襖の陰でユミが体を投げ出した。 「うちのママもさあ  帰ってくるなり  ご飯も食べないで寝ちゃうときあるよ  オバサンって日々疲れるんだな~」 オバサンはタイヘンだよ〜と 笑いともタメ息ともつかないユミの声が フスマの後ろから聞こえた。
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