0人が本棚に入れています
本棚に追加
1、曲線・惑い。
都の地面はいつも濡れている。
気のせいかと笑った鼻、その造形に惚れ惚れしていた。吐息、曲線。何も知らなくていい、知らないことが、良かった。
ぼくから見える景色の美しさ、とかタイルの濡れて艶めくいろ、とか。
君を、作り出す曲線の、甘美な、こととか。
秘められたものすら愛だと謳ってしまえばきっと世界は終わりに近い、
自己保身。
そうやってひとり、孤独にまみれていって、そのまま
寂しさを飼いならすことが出来たらもう少し
進める気がした、間違いだった、こと。
君の笑顔すら、ぼくのものでないのなら、電球の真上で佇むしかない
曲線がさわれるものなら、ずっと触れていたかった、ってこと。
都に居る時は、いつも頭の上気にしている、
気のせいかな、笑った口で、その形に寄り添いたかった。
雨のせい、雨のせいだから、何も知らないで、
君の頭上に浮かんだ数字のこと。
マフラーを巻く季節はまだ先なのに、首元がやけに冷えていて、
君の手のひら奪って笑う、首元押し当てて、
冷たいって笑う、孤独を感じた一日前。
忘れて。
運命なんて無いから君の事、信じられる、
お菓子、色とりどりの中、君と歩ける。
最初のコメントを投稿しよう!