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「剛?おい剛ってば!」
俺を呼んでいるのは双子の兄、烈斗、通称『赤にい』だ、レットだけに。
この日曜の貴重な一時を邪魔しないで欲しいな!
「後、30ふん……」
「何が30ふんだ!起きろ!約束に遅れるだろ!早くしろよまったく」
ハッと、跳ね起きた。
そうだった!今日は同じ学校の田村兄弟に誘われてたんだった。
田村兄弟とは同じ6年2組のしかも双子の友達だ。
何でも家の模型店で見せたい物があるとか……。
俺は、さっさと支度した。
「赤にい!ダウンベスト着たか?」
「着てるよ!」
「赤にい!帽子かぶったか?」
「とっくに!」
ようし!俺も兄と色違いのオキニの帽子かぶったぜ。出発だ!
「赤にい!さっさと行こうぜ!」
「お前待ちだよ!」
頭を小突かれながら家を飛び出した。
朝食のカレーパンを忘れずに。
時間はギリギリだがあせる程ではない。
でも駆け足で向かう。
遊ぶとなると心が踊ってしまうのだ。
川沿いの道を真っ直ぐ走っていく。
水面はキラキラと輝き、たまに魚の背ビレが泡をたてる。鳥達がそれを狙い空から舞い降り、もともといた鳥達が瞬く間に羽ばたいて行く。
心が踊るこの一本道を、カレーパンをごくりと飲み込み、ただひたすらに走っていた。
「赤にい!あいつらの用事ってなんだろな?俺たちとのサッカーを断ってまでしたい遊びってなんだ?」
しかし、兄も困ったような顔をしている。
「何だろうな、まあ行ってみればわかるんじゃないかな?」
さて、そうしている間に田村模型店が見えてきた。
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