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「だめだよ、だって……ここに神さまなんていないもの。お百度踏んでも、お金を入れても、ここには神さまがいないから、おねえさんの願いはきいてもらえないよ。残念だけど」
彼女は眉をひそめ、はぁと息を吐いた。
「そんな、なんてことを言うの!! ここは神社でしょ!! たまにテレビや雑誌で紹介されるくらい立派な神社よ!! 神さまがいないはずないじゃない!! うぅ、うっうっ……」
涙と鼻水を垂れ流す私は叫び、彼女をにらみつけた。
子供にまでバカにされるのか、私は……
「泣かないでおねえさん。でも彼女の言うことは本当だよ。神さまは出ていってしまったんだよ。ずっと前に……考えてもごらんよ。神さまがここにいたとして、スリッパでこんなに気持ちのいい遊びを僕らが毎日できると思うかい? 僕らの存在を神さまが許すと思うかい?」
背後に立つ少年は私の肩にそっと手を置き触れる。
「うぅ……うっ、うっ……じゃあ私はどうしたらいいの? どうすればよかったの? どうしたら私の願いは叶う? どうしたら……ううぅう、ああぁああぁ!!!」
他の寺や神社に参れば私は救われるのだろうか……?
「おねえさん、かわいそうだから……特別だよ」
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