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彼女は立ち上がると着ている制服の胸ポケットから、アルミ箔を畳んだような銀紙を取り出した。そして百円玉の山をちらっと見やる。
「おねえさんの百円玉全部と、これを交換してあげる。これを使えばきっと、おねえさんの願いは叶えられると思うよ」
「なによ、それ……」
言いながら私は手を差し出していた。彼女はそれを、そっと置いた。
ちょうど私の手の平と同じくらいの大きさ。
「神さまは願いなんてきいてくれないから、出来ることは自分でやらないと。でも私たちがこうして出会えたのも何かの御縁……奇跡だよ。神さまの代わりに私たちが手伝ってあげる、ねぇー」
フフッと彼女は嫌な微笑みを浮かべ、少年と顔を見合わせた。
「おねえさん、僕からもあと一つ……願い事はね、具体的に想像しないといけないよ。相手がどんな風に不幸になるのか。どんな事故にあうのか、どんな事件にまきこまれるのか、どんな風に……ひどく苦しむのか。そのすべてを細かく正確に想像するんだ。引き寄せの法則だよ。そうやって自らの幸せを自分で引き寄せるんだ」
少年と少女はいつの間にか取り出したビニールの袋に百円玉を全て入れると手をつなぎ、歩いて行ってしまった。
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