録音♯2

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ーー世道になった君は父親を襲い、海に捨てた。何故だ? 「僕はまだ認めていない」 ーーその顔は殺人鬼の顔だ。冷酷な人殺しの目をしている。 「酷いなぁ。証拠もないのにそんな言い草」 ーー動機は恨み? 愛人の子として生きるレッテルへの。 「……奪いたかったんです。全部」 ーー会社を奪いたかったのか? それとも人生そのものを? 「僕と松下明国には血縁関係がありません。赤の他人なんです。僕は母の連れ子でしかない。そんな奴が何かを求めたっていいんですよね。いいんですよ」 ーー何が言いたい? 「僕は、僕が一人の人間である事を求めたんです。僕の中にはちゃんと僕がいるんですよ。だけど、誰も認めてくれない。母でさえもね」 ーーそれが君の本当の姿? 君の兄は本当に自殺だったのか? 他に人を殺した事は? (小さな笑い声) 「兄は首を吊って死んだんです。会った事もない兄です」 ーー認めるんだな。少なくとも松下明国の殺害は認めた筈だ。 (一瞬の間) ーー君は医大生だった。何故辞めた? 「歩人でいいですよ」 ーー君が辞めた年と父親の死は関連があるのか? 「僕が医大を辞めたのは他にも人を殺したからですよ」 (椅子に座り直す音) ーー他に、誰を殺した?
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