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ラブレターの送り主は大上寛という名前の一年だった。
ついでにいうと俺の名前は小野寺洋三年だ。
俺たちはあの日から付き合いだしたわけだが、わけなんだが……。
これって付き合ってるっていうのか?
付き合いだして三ヶ月経つが未だにキスもした事がない健全な関係だ。
あれから大上の事がどんどん可愛く思えて押し倒したくてたまらないのだが、俺がさりげなくそういう雰囲気にもっていこうとするのに躱されるのだ。
「買い物に付き合って、とか遊びに付き合ってとかじゃないんですよ?」って言ってたの誰だよ。
今の俺たちってまさにそれじゃん。
普通の友だちみたいな関係だよな。いや、先輩後輩か。
俺だって羊の皮被って無害そうに見せてても男だし、恋人と色々したい。
そう思ったっておかしくないだろう?
こんな事思ったのなんて大上が初めてだし、正直どうしていいのかわからない。
無茶苦茶にして汚してしまいたい気持ちと大事にだいじに真綿に包んで守りたい気持ちと、どっちも本当の俺の気持ち。
大上は見た目に反して臆病だし、照れ屋だ。
手を繋いだだけで赤面し固まってしまう。
だけど臆病な狼さん、いつかちゃんと羊が狼をおいしくいただいてやるから震えながら期待して待ってろよ?
その日の事を想像するとわくわくする。
体温も高まり中心にも熱が集まるが、『今じゃない』と自分を押さえる。
俺がそんな事を考えているとも知らない大上は俺と目が合い照れたように笑った。
あぁ、待ち遠しい。
期待に俺はぺろりと自分の唇を舐めた。
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