おおかみさん、ひつじさんには気をつけて?

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毎朝おなじみの光景。 友人の下駄箱にラブレターがぎっしりと入っていた。 いや、詰まってるって言った方がいいか? いつもの事ながら下駄箱に入れるセンスが分からない。 バレンタインの時なんかはチョコも入ってたりする。 下駄箱に食べ物入れるセンス……理解し難い。 げんなりしている友人に心の中で「ご愁傷様~」と言う。 流石にここで声に出して言えばどうなるかくらいは分かってる。 俺は自分で言うのもなんだけどをしていると思う。 だけどそんなのを正直に表に出したっていい事なんかないのも分かってるから、どちらかというと可愛い見た目に合わせ羊の皮を被り大人しくしている。 まぁ、友人の下駄箱に何が入っていたとしても俺には関係ない話だ。 眉間に皺をよせて持参した紙袋にラブレターを詰める友人を横目に自分の下駄箱を開けた。 そして閉めた。 は? もう一度開ける。 一通のラブレターが入っていた。ビニール袋に厳重に入れられている。 「ぷっ」 なんだかおかしくて俺は吹き出してしまった。 ビニール袋にラブレター入れるって……!斬新過ぎるだろう! 「くっくっく」 「なんだ?おもしろいものでもあったか?」 「いや、何でもないよ」 にっこりと笑って見せる。 俺はビニール袋に入ったラブレターを袋から出し、こっそりと鞄に仕舞った。 ときめきとかまったくないけど、こういうセンスを持つ人物に興味を持った。 あとで一人で読んでみるか。
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