俺、天使。憧れの職業に就職したはずだったんですが。

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俺、天使。憧れの職業に就職したはずだったんですが。

 天使、と言えば皆さんは何を想像されるだろうか。  やっぱりキリスト教の壁画かなんかで見かけそうな、白い羽が生えていてキラキラしている美少年とかを想像するのではなかろうか。俺もそうだった。幼い頃は信者だった両親に連れられて何度か教会に足を運んだので、強く印象に残ったのを覚えている。  俺は敬虔な信者になるようなことはなかったが、それでも天使の姿には魅了されたものだ。  自分も死んだら、天使のようなものになれるのだろうか。  あの真っ白な羽根で自由に空を飛ぶことができたら、さぞかし気持ちが良かろう、と。しかも美少年。神様のお使いという神聖な存在。姿を現すだけで崇め奉られること間違いなし!  そんな憧れがあったからなのか。  俺はその何十年もの後に死んだ後、神様に呼ばれて“天使の仕事をやらないか”と言われた時――二つ返事でOKしたのである。 『天使!?やったー!やりますやります俺やりまーす!』  なんせ、会社の忘年会で酒を飲みすぎてべろんべろんに酔っ払い、飲み会会場の居酒屋の部屋(五階)のベランダに勝手に出て、そこで裸踊りをして落ちて死ぬという凄まじく恥ずかしい死に方をした俺である。  前世でなんらかの悪行を成した、ような覚えもないが(犯罪なんぞする度胸もないオッサンだ。まあ裸踊りしたのが公然猥褻だった可能性はあるが、同じ部屋で飲んでいたのもオッサンばっかりだったので良いことにしてもらおう)、まさかそんな自分が天使なんぞに就職できるとは夢にも思っていなかったわけで。  死んでから夢が叶うなんて超ラッキー!と思っていたのだ。――実際この仕事を始めてみるまでは。
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