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 当人はそれを知ってか知らずか、不敵な笑みを見せる。これまた高そうな黒いスーツに身を包み、長身に均整の取れた身体つきの男だ。その成りに、小柄な弘は嫌味を感じる。そう感じてしまう自分自身をも嫌悪する。  有り体に言えば大地は格好良いと、弘は認めている。  大地は筒石邸の脇を通って、裏庭のほうへ遠慮なく進んだ。弘も後を追う。  塀よりも高さのある大きなハウス型の硝子温室は、裏庭の隅に設置されている。  エプロン姿の春樹はそこで、植物に水をくれていた。右手でブリキの如雨露の取っ手を持ち、左手を底に添えている。  春樹は緑の似合う男だ。弘はそう思っている。その白い肌に薄い色の茶髪と、寡黙な性格で、春樹自身に植物的な印象さえ持っていた。  大地が温室のドア開く。 「おう、左腕、調子どうだ」
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