小さな恋人

15/21
前へ
/21ページ
次へ
それから、蒼太くんのお母さんの話はあまり頭に入ってこなかった。 ───────────────── 引っ越し作業の邪魔をしてはいけないと、私はすぐにあの家を後にした。 未だに頭の整理がつかない。 蒼太くんは亡くなった。 それは確かだ。 なら今日会った蒼太くんは? 答えなんて出るはずのない自問自答を繰り返す。 さっきからこの思考がずっとループしている。 おぼつかない足取りでフラフラと歩く。 ふと気づけば私はあの公園に来ていた。 今さらここに来たってどうなるものでもないのだろうけど。 それでももしかしたら、と無意識に足を運んだのかもしれない。 ・・・なんて、あまりに都合よすぎるよね。 そう思い、また帰路に着こうとした時。 「おねぇちゃん」 今日、一日を共にして聞きなれた声が私の鼓膜を震わせた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加