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それから、蒼太くんのお母さんの話はあまり頭に入ってこなかった。
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引っ越し作業の邪魔をしてはいけないと、私はすぐにあの家を後にした。
未だに頭の整理がつかない。
蒼太くんは亡くなった。
それは確かだ。
なら今日会った蒼太くんは?
答えなんて出るはずのない自問自答を繰り返す。
さっきからこの思考がずっとループしている。
おぼつかない足取りでフラフラと歩く。
ふと気づけば私はあの公園に来ていた。
今さらここに来たってどうなるものでもないのだろうけど。
それでももしかしたら、と無意識に足を運んだのかもしれない。
・・・なんて、あまりに都合よすぎるよね。
そう思い、また帰路に着こうとした時。
「おねぇちゃん」
今日、一日を共にして聞きなれた声が私の鼓膜を震わせた。
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