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「本当!? 僕、ちゃんとえすこーと出来てた!?」
私の言葉を聞くやいなやそんなことを言い出す蒼太くん。
えすこーと?
あ、もしかして今日手を引っ張られてあっちこっち連れ回されたのってエスコートだったのか。
その様子を思い出し、なんだか微笑ましくなった私はクスリと笑った。
「うん。出来てたよ」
「そっかぁ。おねぇちゃんが楽しくなかったらどうしようかって思った。今日は僕、好きになってもらうために頑張ったんだ! 楽しいって思ってるのならよかった.....」
先程までとは裏腹に、私の心の温度が一気に下がる。
今、蒼太くんは何て言った?
好きになってもらうため?
じゃあ.......。
「私が......蒼太くんのこと好きじゃないってとこ......?」
「・・・おねぇちゃん、僕と付き合ってくれるって言った時。僕のことを男の子として見てないって思ったんだ。だから今日好きになって貰えたらな......って!」
「・・・そう、なんだ」
この子は全部気付いていたんだ。
「あの、蒼太くん。ごめんね? 真剣に蒼太くんのこと考えなくて」
「ううん。それに、僕はおねぇちゃんと遊べただけで満足なんだ。あんまり高望みしちゃうと神様に怒られちゃうよ」
「きっと神様は怒らないよ。蒼太くん、良い子だもん」
「そうかな? そうだといいな」
そう言いながら、蒼太くんははにかんだ。
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