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「ねぇ、おねぇちゃん。もし僕が生まれ変わったら、また遊んでくれる?」
少し不安そうな蒼太くんの顔。
「うん。もちろんだよ」
でも、そんな不安を吹き飛ばせたらいいな、と思いながら。
私は出来る限りの笑顔で言った。
「ありがとう! 僕、すごく楽しみにしてるね!」
屈託の無い笑顔。
本心から出てくる言葉。
私はその蒼太くんの様子を見て、様々な感情が混ざり合い、それが一筋の涙となって頬を伝った。
「・・・そろそろ時間みたい」
消えかかる蒼太くんに、もうほんの少ししか時間が残されていないことを私は悟った。
最期に。
どんな言葉を掛ければいいのか。
その一瞬で迷い、そして私は正しいと思える言葉を笑顔で口にした。
「蒼太くん、またね」
「うん! またね、おねぇちゃん!」
消える寸前。
声は聞こえなかったが、口の動きで蒼太くんが何を言いたかったのか分かった。
『だいすき』
確かに、そう言い残した蒼太くんは、それを最期に消えた。
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