小さな恋人

21/21
前へ
/21ページ
次へ
そこから私は、静かに泣いた。 片想いの恋だけで、恋愛なんてしたことは無かったけれど。 果たして、蒼太くんほど私を好きになってくれる人は現れるのだろうか。 死んでもなお、私のことを好きでいてくれる人は現れるのだろうか。 蒼太くんが生きていると思っていた時。 彼の重荷になってはいけないと、本当の気持ちではないことを伝えなきゃと思った。 でも。 「ふふっ。私の方が重荷になってるかも」 きっと忘れることは無いだろう。 「また会えるといいな」 そう思った頃には、涙は止まっていた。 「・・・帰ろ」 夜空一面に輝く星々を見上げながら。 願わくば、また蒼太くんと出会えますように、と。 神様にお願いした。 蒼太くんと出会った公園を横目に帰路に着く。 静寂が支配する夜の公園は、まるで私の心を写しているかのようだった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加