ある青年の告白

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ある青年の告白

毎晩、夢をみるんです。そこは病院で、場面はきまって彼が首を切って自殺した後。おれは必死に開いた傷口に手を当てて、血を止めようとするけれど、絶対に止まらなくて、神様に助けを乞うんです。お願いします。助けてください。彼が死ぬくらいならおれが死ぬからって。でも、それじゃおれが苦しまないから、いつもまでも血は流れ続ける。あたたかいのが冷たく冷え切るまで、じゅくじゅくと毎回、毎回、彼は死んでいくんです。 だからもう、終わらせてください。 神様、どうか──。 祈るように両手で、ナイフを握る。首筋に当てたそれから、にゅう、と花弁が一斉に花開く。何度見たかわからないその花が、ようやくおれの首から花を咲かせた。ああ、またか。花は大輪にはならなかった。まだ咲きたての、小さな花。根っこの醜いおれはいつになったら枯れるだろうか? 鮮烈な赤が淡く霞んで、おれは静かに意識を手放す。 神様、どうか
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