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並んで歩くと見劣りするのも不釣り合いなのも知ってる。知ってるけど、敢えてそれを聞こえるように言ってくる人もいる。その本意も私にはわかる。だけど、傷つかないわけではない。
慣れないとなぁとは思う。ずっと隣にいるつもりなのだから。それに、高台くんは、真っ直ぐに「可愛いね」って言ってくれる。本当に可愛いと思ったから可愛いと言ってくれる。この人のこんなところが、私も好きなのだ。
「萌香……その、」
「なに?」
「他の人は、どう思うか、俺は知らない。だけど、俺は萌香、可愛いと思う。すごく、可愛い」
「……うん、ありがとう」
私も心からこう言う。もう卑屈にはならない。高台くん、私が気にしてるの、気づいてたな。
「そういえば、今度の休み元が帰ってくるんだけど、萌香も会わない?」
「え、元ちゃん、私のことわかるのかなあ?」
話したこともないけれど……。
「うん、萌香のこと、話してるから」
「え、そうなの?」
「うん。高校の時に言った『好きなんだ』って」
「えええ!? 元ちゃん、何て?」
「『あー、正やん、好きそう、好きそう!』だってさ。俺の好みっぽいって。好みも何も、俺、初恋なのに。適当だよ、あいつ」
仲良しだなあ。高台くんのテーブルの上には元ちゃん作のトーストにちょうどいいお皿とちょうどいい大きさのマグカップ。
綺麗な藍色。元ちゃんぽい。なんていうと、“萌香も適当だね”って言われちゃいそうだ。
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