第2話

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「いえ、ぼーっとしてるだけです。仕事では気をつけます」 「トゲトゲしてる人ばかりといたから、少しほっとする。あの、話はそれだけです。残り少しですが、よろしくお願いします。陸上さん来てくれて良かったです。後継ぎ決まらなかったら産休でもブツブツ文句言う人いますからね」 「……そういうものですか……」 「です」 「あと、私も短大出身です」 ああ、それで余計に怒ったんだな?思わずふっと笑ってしまって、西野さんも笑った。 「だらだら遊ばずにぎゅっと濃縮して勉強したんだっての!」 と、ちょっと口悪く言った。 昼からの仕事はいつもよりやり易かった。確かに期間限定でもお互いの心の持ちようでこんなに変わるんだ。西野さんだけでなく他の人に対しても気をつけようと思った。 相変わらず西野さんは厳しかったけれど、仕事をまわしてくる人に 「今度から、こちらの陸上さんが引き継ぎますので、よろしくお願いしますね」 と、私を紹介してくれた。今までは西野さん経由に喋っていた人が私を認識してくれる。それだけでかなり仕事がしやすくなった。……まだ正直、西野さんがいなくなったらどうしようと思うレベルだったけれど、何度同じことを聞いても 「前も言いましたけど」 と、言いながらも快く教えてくれるようになった。メモメモ。
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