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第2話
出勤してまず、驚いたのは、大きな自社ビルが一等地にあったこと。何より社員数がとんでもない。部署が変われば全く知らない人もいるだろう。物覚えの悪い私だと同じフロアの人も怪しい限りだ。
お茶汲みなんて必要ない。自販機も休憩室には某コーヒーメーカーのサーバーが置かれている。何ならビル内にカフェがある。このビル内で生活出来るのではないか!?
迷子にならないように気をつけなければ。
自分の働くフロアまで連れてきてくれた人事の人に続き、次回から一人なのだ、しっかりと道を覚えよう。
フロアに入っても、誰も私を気にする素振りはなかった。そのくらい社員数が多いのだ。
挨拶もそこそこに
「早速だけど」と、お腹の大きな女性……私はこの西野さんの代わりに、ここで仕事をすることになっていた。仕事の引き継ぎを今日から数週間で済ませる予定だ。
「わかりますか?」
何度もそう聞かれて、私の顔から理解していなさそうだと判断され
「はい、何とか」
必死にメモを取った。あまり快く思われていないのは、鈍い私でも感じとれた。
時々、小さくはあっとため息を吐かれて、いたたまれなくなってくる。どのみち、期間限定なのだ。
「休憩行きましょうか」
休憩すらこの人と一緒なのだ。思わずため息が出そうになって慌てて口を押さえた。最もこの会社へ来て初日以外はこの人以外とは話すこともなかった。
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