祈り

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祈り

物心(ものごころ)がついたころには、じいちゃんは、この世にいなかった。 じいちゃんの真意はわからないが、じいちゃんは、メジャーになることをしなかった。 良いか悪いか、僕にはわからない。 遺された子孫たちは、じいちゃんの決断によって、もしかしたら多大なる苦労をしてきたのかもしれない。 とくに経済的には、僕の母親、おじさんたちも、相当苦労をしてきたのではないか。 お金としての財産が、ほとんどなかったからだ。 おそらく遺産は放棄したのだろう。 金銭的には、かなり貧しかったようだ。 じいちゃんは、なぜ、ほとんどすべての遺産を放棄し、子どもたちに苦労の道を選んだのか。 子孫としては、もう少し財産があったならば、贅沢とは言わないが、今よりゆとりを持って生活できたのではないか。 金銭的に、ギリギリの生活は、心と身体への負担が大きい。 じいちゃんは、なぜ、遺産を放棄したのか。 メジャーになることをしなかったのは、なぜだろうか。
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