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『あなたが望むなら、私はあなたの相手をする。但しその場合、どこかへ行けとは言わせない。妹と二人でここで暮らす代価として私を与えると言っている。もちろん、妹に手は出すなよ』
寝台の横の椅子に腰かけたまま、身に着けていたシャツに手をかけ、いまにも脱ごうとしていたジュリアに、ラナンは焦って声をかけた。
『いいから! そんなこと望んでないから、やめて! できれば訳ありの訳くらいは教えて欲しいけど、聞いたら引き返せないっていうなら聞かないし! とりあえず、出て行けとは言わないから。部屋も余っているし、二人増えても食べて行けるくらいの収入はあるから、ちょっと落ち着いて!?』
言っている最中にもなぜか服を脱ごうとしたジュリアに対し、ラナンはしまいに騒ぎながら近づいて手首をぐっとおさえた。
『脱がないでよ!』
『いやしかし』
『何がしかし、なのかわからないんだけど!? いいって言ってるんだからやめて!! ここは僕の家で僕がやめてって言ってるんだからそういうのは』
喚いたところで、立ち上がったジュリアに手を振り払われ、そのままの動作で口をふさがれた。
ジュリアとラナンの身長はほとんど変わらず、間近な位置で見つめ合う形になる。
『ロザリアが起きるから、騒がないで。わかったよ、あなたは私の身体に興味がない』
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