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雨上がりの庭で 〜陽菜〜
「今日は用事あるから、帰るね」
陽菜は、自習室で一緒に勉強していた樹にそう告げると学校を出た。
そうだ。
予備校にいく日だからだ。
まず、説明を聞いて、つぎに授業を受けてみて入塾を検討する予定。
6時に、、ギリギリ間に合う。
ドキドキしながら、ドアを開ける。
「いらっしゃいませ。」
受付の女性がにっこりして立ち上がった。
「私、桜井と申します。今日6時に、、」
「お待ちしていましたよ」
私は、案内された椅子に座る。すると、受付の女性は眼鏡をかけた男性を連れてきた。
「はじめまして。田代です」
眼鏡の男性が口を開いた。
「桜井です」
文系志望ということで、古文担当のこの先生が私の担当になるらしい。
田代先生。穏やかな話し口調で、綺麗な言葉遣いをする。私は眼鏡男子にときめく習性がありはみたいで(笑)説明聞きながら、緊張してしまった。
そんな私に気づいたのか、先生が優しい声かけてくれた。
「大丈夫だから。体験だからって、入らないといけないわけじゃない。気負わないで話聞いて。」
「はい。」
「でないと、桜井さんにとってベストな選択できないよ」
この先生、冗談言って笑わせる様なユーモアがあるわけではない。でも、不思議。この空気感、好きかもしれない。
「桜井さん、このプリントに名前書いて。筆箱あるよね?」
「はい、出します!」
カバンをゴソゴソしていると、
バサッ!
何かが落ちた。
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