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「うーん。ちょっと色気足りないなぁ」
撮影は順調に進むが伊織先生がそんなことを言い出した。
「やっぱり、デートなうとか言うには男の子の影も必要かなぁ?なぁげたんわくん、男の子やらないか?」
「へ?男の子に戻るの?」
「そうじゃない。女体化したまま、男の子の役をやるんだ。女体化しているけど男装の麗人になるんだ。私は男など撮影する気はない!」
「えーっと。もともと男の子なんだけど、女体化しているから女体化したまま男装して、女の子として男装の麗人やれってこと?」
げたんわくんの頭の上に間違いなくクエスチョンマーク浮かんでるだろうなぁと俺はクレープ食いながら見ていた。
げたんわくんの横にタッくんが立ち、げたんわくんの肩をポンと叩く。
「げたんわくん、あえて言おう。悩んだら負けだ。伊織先生の言うことだぞ?」
「あえて言うのか……」
どうやら、げたんわくんは観念したようで女体化して男装という訳の分からない状況のために衣装を着替えに休憩所にしているワゴン車に向かう。
女体化しているから女の子の着替えになるから親父はワゴン車から降りてきた。
「さて、恋人設定で撮影するが、誰か彼女役やりたい奴いるか?」
伊織先生の言葉に俺らモデルは顔を見合わせる。
「私と五丁目さんは家族持ちですので遠慮します。下手に焼き餅焼かせるような設定はお断りします」
タッくんと五丁目さん、アウト。
「瑠璃も駄目だから!設定でも彼氏いる設定なんて、お父さん許さないから!」
親父が吠えて、俺アウト。
「んー。げたんわくんかぁ。下手なことしてファン減ったらイヤだから俺もアウトかなぁ?」
良くん、アウト。残るはうたうものさんか香多くんだ。
「私は構わないけど、やっぱり年の近い香多くんがいいんじゃないかなぁ?でも香多くんは、おじさまじゃなきゃ駄目なの?」
「僕は平気だよ。てゆうか、恋人設定やって、おじさまたちに焼き餅焼かせたーい!!」
小悪魔だ……。多分その場にいる全員が思ったろう。
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