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「ママでちゅよ〜」
「パパでちゅよ〜」
「お兄ちゃんでちゅよ〜」
家族が俺に会いに来たのは、それから数日後のことだった。
病気だから隔離されたのでは?とビクビクしていたのにあっさりとしたものである。
まあ、それもこのデレデレにデレた顔を見たら、どうでもよくなったわけだけど。
母親のリリアンさんは、綺麗な金髪に金色の瞳の美人さん。父親は、騎士の家系よろしく屈強な体格と威厳のある美丈夫だ。
兄は、まだ幼いながらも凛々しく端整な顔付きをした少年である。
「あぃ」
「「「ぎゃ、ぎゃわいいいい〜〜」」」
そんな美形達が俺の「あぃ」の一言で身悶えし、顔をだらしなく弛めている。
うん。愛されてるな俺。
愛されていることは大事なことだ。
でも、これでハッキリしてしまった。
コ●ン君みたいに謎の組織に薬を飲まされて、若返ってしまったわけではない。
これ、異世界転生ってやつだ。転生して前世の記憶持ったまま赤ん坊スタート的なやつだ。
「見てみろ、この凛々しい顔。将来は私よりも立派な騎士になるぞ!」
「そうですね、父上!」
「あらあら、知的な顔をしているから魔導師かもしれないわよ?」
「そうですね、母上!」
「ハハハッ、それじゃあ将来は魔導騎士だな!」
「あぅ……」
豪快に笑う家族達に俺は苦笑いした(できたかは分からないけど)
俺は、騎士にも魔導師にもなりたくない。
だって、両方戦うじゃん。
「リデルライト!早く大きくなれよ!」
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