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「すみません。通してください。」  日曜日のイベント会場は、大盛況で次から次へとトラブルの連絡が入ってくる。  さほど大きくはないイベント会社の仲田商事の少ないスタッフの1人である私は、先ほどから迷子の案内や機械トラブルの連絡がインカムに入るたびに会場内を走り回っていた。  グランツの企画部で3年、販促イベントを担当していたおかげで入って数ヶ月の今の会社でも戸惑うことなく働けるのは、助かっているが、イベントの当日はバイトをもう少し増やしてもらわないと、休む暇もない。 『橘さん。緑水堂さんのブースで迷子保護。回収よろしく。』  また社長からコールが入った。  私は頭に叩き込まれたイベント会場の地図を思い浮かべて、最短ルートを走った。
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