頼むよ、神様

2/8
前へ
/8ページ
次へ
 誰だってあると思う。どうしようもなくしんどい時が。  ただただ頭が痛くて、視界が霞んで、ただただボーっと座っていたい時。  けれど、ボーっとしていたいのに、いざボーっとしてたらどうしようもなく焦りに駆られて意味もなく立ち上がってウロウロしたくなる。何もしたくないのに、何かしていないと落ち着かない。疲れているから寝たいのに、寝たらあれやこれやがまだ終わってないからと焦るから眠れない。  名前の付けられない感情、とでも言えばいいだろうか。  自分の感情だとわかってるのに、自分の感情じゃない何かに思えてしまう、そんな感情だ。  俺はそんな気怠いものを抱えながら家を出て、砂利だらけの上を歩いていた。じゃく、じゃく、と石がこすれ合い、俺の靴底をこする音が妙に大きく聞こえる。けれど不快感はなく、むしろ心地よくて、いつもより力を入れて一歩一歩を踏みしめた。  べしゃっ  突如俺が鳴らす音とは違う不快で嫌な予感をさせる重い音が鼓膜を通り過ぎた。反射的に視線を音の方に向けると、間違いなく音を発した本人であろう5歳くらいの子どもが砂利に俯せに寝転んでいた。 「いたああああい~!」  俺が視線を向けた瞬間、火を点けたように大きな声で泣きはじめた。別に俺は何もしていないのに、距離が数歩程度で近かったこともあり、何故か俺が泣かしてしまったかのような罪悪感と焦りが沸き上がった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加