頼むよ、神様

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 けれどすぐ我に返り、いやいや何で俺が焦る必要があるんだ親でもねーのに、と眉間を指でつまむようにぐっと抑えて頭を軽く振った。 「あーん! あーん!」  ああ、五月蠅い  親はどこだ    砂利の音で少し気分が晴れかかっていたのに、重い感情がずんと一気に戻ってきて苛々とした。子どもの声って、何でこうも不快な気持ちにさせるんだろう。  ああ、何で俺は子どもがいるような近所の寺に来てるんだ――ああそうだ、発散しに来たんだった。  10歩程先の所にある賽銭箱を見てここに来た理由を思い出した俺は、泣いている子どもの横をわざと砂利を強めに踏んで音を立てながら通り過ぎた。泣き声を消すために意識したせいか、余計に子どもの泣き声が五月蠅く感じた。  うるせぇ、うるせぇ  邪魔だ、くそ  泣くな、くそ  胸糞わりぃ  頭が痛い。苛立ちと共に原因であるあれそれが脳の中をえぐるように頭の中に現れる。  ――イラついていてもやらなきゃならんことは減らない。  文字の羅列だけをチェックし続けなきゃならねぇタスクが10件以上ある。それが終わった後は別のタスクの誤字チェック。こっちはやってもやっても終わらねぇ。やってる間に増えるレベルなんだよ。先週100件終わらせたのになんでまだ100件あんだよ。俺が仕事早ぇからってなんで雑務をこっちに回す。おかげでてめぇらが後回しでいいって言った重要業務なんにも終わってねぇじゃねぇか。
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