頼むよ、神様

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 誰だよ、代わりにやるって言ったやつ。なんだよ。「ごめん、やり方わからないからやっぱり君に任せた」って。クソ上司が。  ああダメだ、現実逃避するために今日は無理矢理休みを取ったのに、思い出しちまう。思い出したくねぇのに。今日だけは忘れていてぇのに。畜生、どうやったらこのクソ胸糞な憂鬱はどっかにいってくれるんだよ。 「うらぁ!」  賽銭箱に向かって100円玉を力いっぱい投げ入れた。  叩きつけるように投げた100円玉は、カン、コン、チャリンと3つの音を立てて勢いよく中に入った。勢いで跳ね返ってこず綺麗に入ったことにちょっとスカっと晴れた気持ちを抱きながら、俺は『優しく鳴らしてください』という注意書きのある鐘を目一杯鳴らした。  ガラン、ガラン  鈍い鈴の音が、鳴った。  その音が、憂鬱な気分を少し飛ばしてくれたような気がして――と言っても、本当に、ほんの少しだが、俺はここに来た時よりも軽くなった気持ちにハッ、と嘲笑って踵を返した。  すると、さっきまで泣いていた子どもが起き上がっていた。どこもケガはなかったようで、先ほどのことなどなかったかのように顔を輝かせて近くの花に手を伸ばしている。  なんだ、大丈夫だったじゃないか、と思っていると「こうちゃーん! 帰るわよー!」と母親らしき女性が子どもに声をかけていた。
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