頼むよ、神様

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 ***  俺が目を覚ましたら見えたのは、真っ白な天井と、全く同じあの女性の顔だった。いくらなんでもデジャヴすぎて、夢か、と思った俺はその髪に手を伸ばして、今度こそ触って「ああ、綺麗だ」と笑った。 「キャッ」  やけにリアルな感触を指で撫ぜていたら、小さな悲鳴が聞こえた。  ふと髪の持ち主を見ると、頬を真っ赤にしてこちらを凝視している。  じわり、じわり、と現実が突き付けられ始める。 「……すみま、せん」  いや俺何してんだマジで。  セクハラだの変態だの騒がれてもおかしくねぇじゃねぇかこれ。  ああ終わった。俺の人生終わった。  そーら今だぞー神様。さぁ世界を爆発させろーい。  俺がそんな馬鹿なことを考えていると、女性は髪を直しながら「あ、あの、こうちゃんを守ってくれて、ありがとうございました」と深々と頭を下げた。  座ったまま頭を下げると、黒い輝きを持つ繊維がさらりと揺れ、やっぱり綺麗だった。 「えーと、あの子のお母さんですよね」 「あ、違うんです。その、母親の妹で、あの子にとったら、叔母にあたります」  その発言に、俺は心なしかホッとする。  しっかり言葉を発せれる子どもの親が自分より若いと、自分の存在全てが世界に遅れているようで嫌な気持ちがするのだ。 「あの、それで……その、お礼に、もし、よかったら……その、食事でも、と」  妙に髪をいじりながら彼女は言う。
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