私は、ただの少女Ⅾ

2/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
けれど。あの優越感だけは忘れられなかった私は、どうにかして何か別の結果を残そうと、運動とは正反対の美術部へ入部した。 漫画が好きで、よく趣味で絵は描いていたし。お母さんからもよく「上手だね」って言われていたから、部活でもっと絵を勉強すれば、もっと上手くなって、また私は特別になれると思った。 「っ!!やった!!」 そうした努力の甲斐あってか、中学二年の春。私は一度だけ賞を取った。賞を取れたのは美術部員では私一人だった。 「おめでとうしほちゃん!」 「凄いなぁ~~。私にはあんな凄い絵描けないよ」 「ありがとう。でもたまたまだよ!」 皆私の絵を見て凄いと言ってくれる。上手だと言ってくれる。 「そっか。きっと私は、運動よりも絵の才能の方があったんだ」 皆が私の絵を注目してくれる。褒めてくれる。私は凄い。私は特別な存在なんだ。 そんな優越感に浸れるのは、ほんの一年程度だった。 私が三年に上がると、美術部には新入部員の一年生が五人ほど入部してきた。 部長として色々絵のアドバイスをするが、そんなのは必要ないと感じてしまうほど、一年の子達は皆絵が上手かった。 私の絵が、霞んで見えるほどに……。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!