私は、ただの少女Ⅾ

5/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
小説もあれからネットで作品を出しては、コンテストに応募したりしているが、あいかわらず受からない。 私は何をしても中途半端で、何をしても主人公のようにはなれなかった。 「この世界を物語にするのなら、きっと私はせいぜい少女Ⅾくらい……。いや、もう少女とかいう歳でもないか……」 仕事を辞めてから半年。 私はずっと実家に暮らし、親にも迷惑をかけながら生活してる。 「……ねぇ神様。どうして私には何もないの?」 皆みたいに何かが優れているわけでもない。顔も普通で体系も普通。告白とか一度もされたことが無い。頭もよくない。常識もない。強くもない。お洒落でもない。ゲームも下手くそ。歌も下手くそ。料理も下手くそ。 こんな何も持ってない私は、生きている価値があるのでしょうか? 「神様……お願いします」 次生まれ変わるときは、私にも何かください。 なんでもいいのです。 自分だけの特別な何かを、誇りに思える何かを、私にもください。 マンションの屋上から見える小さな人達や車を見つめながら、私は徐々に足を前に出す。 きっと私が死んでも、この世界にはなんの影響も与えないのだろう。 だって私は、ただの少女Ⅾなのだから。 「なら、なんの迷いもなく……飛べる」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!