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「しほ!!」
まさに飛び降りようと瞬間。私を後ろへ思いっきり引っ張ってきたのは、高校からの友人の優花だった。
「……なんで優花が……ここに?」
「お願い!!死なないでよ!!しほ!!」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で、私を力強く抱きしめる優花。
優花とだけは卒業しても連絡を取り合って、時々会ったりもしていた。でも、今日私が死ぬつもりだったってことは勿論言っていない。
ということは、なんとなく感じ取られてしまったのだろう。
「どうして……止めに来たの?こんな私なんかを」
「『こんな』ってなに!?私にとっては大事な親友なの!!私の大事な人を勝手に殺さないでよ!!」
抱きしめていた腕を離し。最初は「死なないで」と泣きながら縋りついていた優花が、今度は泣きながら私の胸倉をつかんで怒り始めた。
「だいたいなんで死のうとしたの!!」
「え、えっと……私には何もないから……どうやっても特別になれないこんな私が生きててもしょうがないって思ったから」
「はぁ!?なにそれ!?それはしほが勝手にそう思ってるだけでしょ!!」
「っ……でも実際、私なにも出来ないし」
「しほは小説も書けるし、絵も描ける。運動神経も良いし、なにより頼りがいがある」
「そんなわけ」
「あるの!!だって私はそんなしほに憧れてて、そんなしほが大好きなんだから!!」
私を見つめる優花の瞳は、涙で潤んでキラキラしていた。
優花の方が凄い小説が書けて、美人で、声もよくて、料理も出来るくせに……。まるで漫画の主人公みたいな存在のくせに……。
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