12.ブルーとナイトとゴールド

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12.ブルーとナイトとゴールド

「もう大学二年なのにさあ、レギュラー入り全然見えてこねえの。」 ゴールドが久しぶりに電話をかけてきたと思ったら、開口一番嘆いている。うっとうしい。 「仕方ないでしょうが。あのY大のラグビー部だよ?うちらレベルの高校から、よく入れてもらえたってむしろ感謝するべきでしょ。」 「お前なあ、俺がそんなに志の低い人間だと思ってるわけ?ボール磨いて四年ってのは避けたいんだよなあ。どうにかなんねえかな。」 「練習あるのみなんじゃないの?あんたいつも言ってるじゃない。馬鹿の一つ覚えみたいに。」 「やっぱそうなんだよなあ。でもさ、才能に満ち溢れてる奴らが猛練習してるとさ、あれ?満ち溢れるってこういう時使うんだっけか?」 「あってるから、先言いな。」 「おお、珍しい。お前からあってるって言われるなんて。」 「あんたって、そんなに間違いだらけの人生なんだねえ。」 「お前、失礼極まりないぞ。まあ、今に始まったことじゃねえけど。」 「あら、あたしだって人を選んでるわよ。」 「そうか、そうだよなあ。お前、ナイトには全然違ったもんな。いや、あれはまた別の失礼さだったか。」 突然ナイトと聞いて、息が詰まった。詰まった自分に苦笑する。卒業してからもう三年も経つのに、まだ私はあの人をひきずっている。あの漆黒の瞳を、あの金色の光を。あまりにもいつも想っているので、もう自分の一部のような気さえしてしまう。朝起きて一番に、お昼の金色の日差しに、大学からの帰り道の夕焼けに、夜寝る前に月を見上げて。私、どうするんだろうなあ、この先。ナイトから気持ちが動くような、そんな人に会えるのかしら。
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