12.ブルーとナイトとゴールド

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「だからお前ナイトに会いたかったら、表参のイルミネーションの通りに行けよ。24日6時からだってよ。」 胸が苦しくなった。その日にそこへ行けば、三年ぶりにナイトの顔を見られる。あの瞳を見つめられる。 「で、行くようだったら俺ナイトに言っとくよ。そしたら、すれ違いになる心配もないし。」 どうする?どうしよう。会いたい、それは勿論。でもそこにはエメリの恋人としてのナイトがいるだけだ。そんなところにのこのこ出かけて行って、普通にしていられる自信がない。 「いい、行かない。大丈夫。」 「え、いいの?せっかく会えんのに。お前ら卒業以来会ってないだろ?」 「会う理由ないもの。」 「そうなの?」 「うん。」 「OK。じゃあそう言っとくわ、ナイトに。」 「え、何?」 「ああ、俺このこと聞いて、ナイトにじゃあブルー連れていくわって返事したんだよ。そん時まだ練習のスケジュール出てなかったから。」 「…」 ナイトに私のことが話されていた、三年経って。 「でもま、結局二人とも行かねえってことで。」 「ナイト、」 「おう。」 「…何でもない。」 名前を口に出しちゃった。でもまさか、私のこと何か言ってたかどうかなんて聞けやしない。それに言ってるはずないし。忘れてるかもしれないし。クラスメートでさえなかった私のことなんて。 「へ?ま、いいや、じゃあな。あ、お前イヴどうすんだよ?」 「あたし?教会行って家で家族とよ。」 「んだ、お前もデートねえの?じゃあ結局ナイトだけかよ、イヴに予定入ってんの。なんか高校時代と変わりなくねえ?」 「伝説と凡人の違いよ。」 「はは、だなあ。じゃあブルー、またな。メリークリスマス。 「メリークリスマス。」 そう言って私たちは電話を終えた。メリークリスマスって言う相手がゴールドって。しかも二年連続とかって。ほんと、私育ってないなあ。ナイトだけがどんどん先に行ってしまう。いつも私の心は置き去りだ。
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