12.ブルーとナイトとゴールド

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「お姉ちゃんっ、今日イヴだよね。お姉ちゃん、デートとかあるの?」 大学生になったまりが、頬っぺたをツヤツヤさせて聞く。 「ない、全然ない。大学の礼拝から直帰。」 「ええー、ほんとに?お姉ちゃん、全然男の人と付き合わないじゃん。好きな人とかいないの?」 ーいるよ、ずっと同じ人。届かない人。 「何、まり、あんたいるの、もしかして?」 「えへへ。うん、今日初デートなの。」 まりは本当にわかり易い。 「イヴが初デートなの?」 「うん。12月に入ってから告白されたっていうか、告白したっていうか。」 「へえ、大学の人?」 「うん、テニスサークルの同期の子なの。」 「そうだった、あんたは王道だよね、大学生の。何てったってテニスサークルだもんね。」 「えへ。そうだよねえ、ちょっとベタすぎるかなって思ったんだけどさ。さーやにひきずられちゃってさ。」 「さーやって、青南から一緒の子だよね。」 「うんそう。恋愛至上主義者だよ。」 「私の友達にもいたよ、恋愛至上主義者。」 私は久しぶりに梨奈を思い出していた。元気かな。まゆみや友香も、どうしてるかな。
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