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「それで、さーやはどうしたの?」
「うん、とっくにGWにはサークルの先輩とくっついてさ。速攻だった。」
「そうなんだ、さすがだね。でも、まり、偉いじゃない。奥手なのによく頑張ったね。」
「うふ。だってさ、良いなあって思ったんだよ、初めて会った時から。でも素敵だから絶対彼女いるだろうなあって思っててさ。夏合宿の時とか結構切なくてさ。一緒なのに遠い、みたいな。」
「うん。」
一緒なのに遠い、ね。わかるよ、それ。とっても。
「でもさ、結局彼女がいるかどうか確かめられなくて。で、さーやが、」
「おお、そこで恋愛マシーンの登場ね。」
「恋愛マシーンって、お姉ちゃん、おかしすぎるよ。うん、まあでもそうかな。さーやと先輩が彼に聞いてくれて、彼女がいるかどうか。」
「うん。」
「そうしたら、高校卒業と同時に別れましたって。」
「おお。」
「うん。でもさ、お姉ちゃん、だからって、じゃあ私なのかっていうとそうじゃないじゃない?単に今付き合ってる人がいないってことがわかっただけでさ。」
「うん、それはそうだね。」
「でも、私、もうそれ聞いただけで舞い上がっちゃって。」
まりのことだ。嬉しくて嬉しくて、確かに舞い上がっただろうな。
「それで言っちゃったんだよね。」
「何を?」
「彼女いないんだってねって。」
「げ。」
「うん、そうなの。私さあ、もう少し考えてから行動しなきゃだよねえ。わかってるんだけど、嬉しいとすぐやっちゃうんだなあ。」
「まりのそういうところ、本当に羨ましいと思うし、素敵だよ。」
「ほんとに?でも、そしたらさ、思いっきりひかれちゃって。」
「ええ?ほんと?」
「うん。で、私どん底、みたいな。」
「まり、可哀そう。そいつ、そう言われたくらいでひくなんて肝が据わってないんじゃないの?」
「お姉ちゃん、怒らないでよ。」
「だって、まりは何にも悪くないのに傷つけられてさあ。」
「ありがとう、お姉ちゃん。でも大丈夫、続きがあるんだよ。」
「ああ、そうだった。だって今日初デート出来るんだもんね。」
「うん。ふふ。」
まりの笑顔の輝きが増している。
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