12.ブルーとナイトとゴールド

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「それで9月はきつかったんだよね。ひかれたまま、サークルに出なきゃいけなくて。」 「かわいそうに。」 「うん、でも頑張って何とかやってさ。そしたら、10月に入った頃かな、飲み物の買い出しにさーやと彼と私で行かなきゃいけない時があって、途中でさーやが消えちゃって。」 「偉いぞ、さーや。」 「いや、でも私その時もう恥ずかしくて仕方がなかったじゃない?あんな事言っちゃって、挙句ひかれちゃって。なのに二人きりにされてさ。」 「ああ、まあね。でも恋愛マシーンは機の見方が秀逸な気がするし。」 「結果ね、そうだったんだけどさ。」 「やっぱり?」 「うん。さーやがいなくなって、それで二人きりになったら、彼が『何であんな事言ったの?』って聞いてさ。私もう顔から焚火が出るくらい-」 「まり、それ火だから。顔から火が出るくらい恥ずかしい、って使い方。」 「えっ、そうなの?私今までずっと焚火って言ってたよ。うわあ、それこそ顔からた、違った、火が出るくらい恥ずかしいね。」 「まあ、十分可愛い間違いだから許す。」 「あはは。厳しいお姉ちゃんに許されたよ。」 「それでそれで?」 「だから私『どうして?』って聞いてさ。」 「うわあ、禁じ手の、質問に質問返し。」 「お姉ちゃんと恋愛話するの初めてだけど、お姉ちゃん、面白いよね、合いの手が。」 「あら、そう?で、相手は何て言ったの?」 「『ずっと気になってるんだ。何か意味があるのかなって。』って。きゃー。」 両手で顔を覆って赤面している。可愛い。 「まあ、もう何か良過ぎよ、あんた達。」 「だけどびっくりしてるから、その先行けなくて、やっと言えたのが『意味はあるかもしれないけど、今は言えないの。』ってさ。そうしたら『いつなら教えてもらえる?』って。だから12月ならって言っちゃったんだよね。」 「遠っ。なんで12月?」 「いや、何だか12月ってクリスマスで街がキラキラしてるじゃない?だからその勢いで言えるかなって思っちゃって。」 「ああ、まあわからなくもないけど。彼、大丈夫だった?」 「うん、ちょっと驚いたみたいだったけど、『じゃあ12月ね。』って言って、私が持ってた重い飲み物、全部持ってくれたの。」
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