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礼拝が終わり、冷たい空気の外に出た。毎年立てられる大きなクリスマスツリー。うちの大学と病院のシンボルだ。茶色の石造りのチャペルによく映える。深呼吸をしながら見上げた。今年も会えたね、また来年ね、と心の中で毎年の声かけをする。濃紺の冬空を見上げる。
さてと、銀座まで歩こう。歩けば歩くほど、冬の澄んだ空気が頭をクリアにしてくれる。澄み切った心で想うのはやっぱりナイトのことだ。いつもは、今どこで何をしているんだろうと思うのだけど、今日はわかっている。表参道に行けば会える。遠目でも姿を見ることが出来る。行けば、誰かの彼になってるのを見せつけられながら、でも確実に会えるのと、誰と付き合ってるのかも知らず、どこにいるかもわからなくて会えないのとは、一体どっちがいいんだろう。
どっちにしても私たちの間には何もないのには変わりないか。涙が落ちる。でも大丈夫。ここでは誰も見てないから。私は涙を拭きもしないで、どんどん速度を上げて歩いた。涙なんか飛んで行ってしまえ。永久に届かないのなら。
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